ビフィズス菌の脂質代謝と有用物質生産

ビフィズス菌に特徴的な脂肪酸を発見!

6cis-ヘキサデセン酸という不飽和脂肪酸は人の皮脂に含まれ、黄色ブドウ球菌特異的に抗菌することで皮膚の微生物叢を健全に保っています。当研究室では、カラダにいい腸内細菌であるビフィズス菌の一部に、この脂肪酸に非常に近い異性体である7cis-ヘキサデセン酸を蓄積する群を発見し、6cis-ヘキサデセン酸と同様の黄色ブドウ球菌選択的な抗菌性をもつこと、強い抗菌活性(黄色ブドウ球菌感染症治療に用いられる抗生物質と同レベルの強さ)をもつことを見出しました。抗菌性のほかに異性体にない有用性として、7cis-ヘキサデセン酸は高い抗炎症性を持つことが報告されており、多方面への応用が期待されます。そこで、ビフィズス菌の“バイオものづくり”利用への挑戦として、遺伝子工学(生産を強化する代謝改変)、合成生物学(蓄積性を強化した新生物への改変)、培養工学・資源工学(脂肪酸生産に適した条件への改変)を軸に、有用脂肪酸生産ビフィズス菌の創製を目指して研究を進めています。

ビフィズス菌の脂肪酸生合成

ビフィズス菌は乳酸や酢酸などの短鎖脂肪酸の産生研究や食物繊維・難消化性オリゴ糖・ヒトミルクオリゴ糖など糖代謝などは盛んに研究されています。一方で、脂肪酸を含めて脂質代謝に関する研究はあまり進んでいません。ビフィズス菌がもつ脂肪酸生合成について未解明な部分を解き明かしたいと考えて研究を行っています。