グリコール酸ポリマーの微生物合成

生体適合性・加水分解性を有するグリコール酸ポリマーの微生物生産系の開発

我々の研究グループでは、グリコール酸をモノマーユニットとして含むポリマーの生合成に世界で初めて成功しました。合成されるグリコール酸ポリマーは、3-ヒドロキシ酪酸との共重合体で、透明性と柔軟性を有しています。グリコール酸ポリマーは、加水分解性を有することが特徴ですが、本ポリマーも触媒や酵素が介在しない条件で、水の作用だけで分解して透明になることが分かります。このような性質から、生体内で分解する材料や、環境中で速やかに分解される材料としての利用が期待できます。

ポリヒドロキシアルカン酸のポリマー構造は、重合酵素が重合できるモノマーの構造(基質特異性)によって主に決まります。重合酵素は、基本的に3位に水酸基を有するモノマーを重合します。2008年に、2位に水酸基を有するモノマーを重合可能な重合酵素が初めて見出されました( https://doi.org/10.1073/pnas.0805653105 )。この発見を端緒に、様々な天然構造を含むPHAの生合成が可能となりました。グリコール酸ポリマーもこの研究の中で発見しました。加えて、非天然モノマーの導入は、さらに高度のポリマー構造制御方法の発見につながりました。詳しくはこちらをご覧ください。